🚋宇都宮ライトライン全線制覇!道路と共存する新時代のLRTの魅力

「宇都宮に新しい電車ができたらしい」「道路を走る不思議な乗り物らしいよ」
そんな話を聞いたのがきっかけで、2025年夏、私は宇都宮駅から芳賀高根沢工業団地まで全線を制覇してきました。
2023年に開業した宇都宮ライトライン(愛称:ライトライン)は、関東初のLRT(次世代型路面電車)として注目を集めています。その全線を実際に乗ってみたところ、これは単なる移動手段ではなく、“都市の未来を映す窓”だと感じたのです。

今回は、全線制覇の体験を通して感じたライトラインの魅力、道路との共存、そして先行事例・富山ライトレールとの違いについてご紹介します。

宇都宮ライトラインとは? 日本初の「新設」LRT

宇都宮ライトラインは、宇都宮駅東口から芳賀町の高根沢工業団地までを結ぶ、全長約14.6kmのLRT(次世代型路面電車)です。全線片道約40分・400円で移動できます。

特徴は以下のとおり:

  • 日本で初めてゼロから整備されたLRT路線(完全新設)
  • 低床式でバリアフリー対応
  • 騒音・振動が少ない電動車両(HU300形)
  • 全線19駅、ほぼすべてが道路上に設置
  • ICカード対応

そして何よりの特徴が、クルマが走る車道とLRTが「共存」していることです。
歩行者、バス、自転車、LRT、そして自家用車が、同じ空間を分かち合う都市設計――これこそが、宇都宮の挑戦です。


富山ライトレールとの違いとは?

宇都宮ライトラインとよく比較されるのが、富山ライトレール(現:富山港線)
実は、日本で初めて本格的なLRT化を実現したのは富山ですが、その違いは以下の通りです。

比較項目宇都宮ライトライン富山ライトレール
路線の起源完全新設(新規敷設)旧JR富山港線の転換
運行開始2023年2006年
路線長約14.6km約7.6km
駅数19駅13駅
道路との共存ほぼ全線が道路上を走行専用軌道が多い
管理主体芳賀・宇都宮LRT株式会社富山地方鉄道

つまり、富山は既存の鉄道を活かした「転用型」、一方、、宇都宮はゼロから作り上げた「完全新設型」です。
また、宇都宮は道路と共に走る距離・区間が圧倒的に長く、都市交通とクルマ社会の“本格的な共存”が求められている点も大きな違いです。

全線制覇して感じた! ライトラインの魅力とは

① 静かで揺れの少ない快適な車内

実際に乗ってみて驚いたのがその静けさ。ガタンゴトンという鉄道特有の音は少なく、スーッと走る感覚。
車内は明るく清潔で、大きな窓が特徴です。


② 車窓から見える「暮らし」と「交差点」

ガラス張りの車窓からは、宇都宮の住宅街、工場群、田園地帯、交差点を行き交うクルマなどがよく見えます。
ときにはLRTの窓越しに、歩行者やドライバーが手を振ってくれることも。
こうした“まちの景色に溶け込む交通”という感覚は、これまでの電車とはまったく違う体験でした。

③ 道路の上を走るというリアル

宇都宮ライトラインでは、信号待ちで停車することもあります。
交差点ではクルマと並び、交通ルールに従って進む姿が見られます。
この「クルマと一緒に走る電車」という存在こそが、都市設計の新しい答えではないかと思わされました。


なぜライトラインはつくられたのか?

宇都宮市と芳賀町は、交通渋滞や高齢化、郊外からのアクセス問題などを抱えていました。
これを解決するために立ち上げたのが、「持続可能な都市交通」の象徴ともいえるライトライン計画です。

  • クルマ依存からの脱却
  • 高齢者・学生など“交通弱者”への支援
  • 二酸化炭素の排出削減
  • 新しいまちづくりの中軸

🚶‍♂️🚲🚗 さらに、歩行者、自転車、クルマ、公共交通が共に生きる「マルチモーダル交通」の実験都市としても注目されています。

実感した「共存」の風景

「清陵高校前駅」では、電車のすぐ横に横断歩道やバス停、自転車置場等があり、学生たちや子ども連れの家族などが行き交っていました。
LRTがゆっくり停まり、歩行者を待って出発する姿に、交通が“人を中心に設計されている”ことを実感しました。

今後の展望と変化の可能性

  • 西口方面への延伸構想が進行中
  • 駅周辺の再開発や商業施設も増加中
  • 地元の高校生や高齢者からも「便利になった」という声が多数

LRTは単なる“電車”ではなく、地域と共に進化する「インフラ+まちづくりのハブ」でもあります。

まとめ:未来の都市にふさわしい交通の姿とは

宇都宮ライトラインは、ゼロからつくられた“人とクルマが共存する都市交通”のモデルケースです。
その全線を制覇してみて、「乗り物」ではなく「まちと一体化した風景」としての存在を感じました。

もしあなたが宇都宮を訪れる機会があれば、ぜひ一度撮影にも向いているフォトジェニックな車両デザインのライトラインに乗ってみてください。
きっと、まちを見る目が変わります。


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